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1章の字数を強制的に守らせる

「1章 7,000字」のように長めに指定しても、ローカルLLMモデルは 2,000〜3,000字前後で章を閉じることがあります。字数を指示しても、そこまで書いてくれません。新規実行画面の「1章の字数を強制的に守らせる」を ON にすると、1 章を何回かに分けてモデルに頼み、目安の字数まで書かせます。

v3.4.0(2026-09-28 配布)で入った機能です。それより前の版にはありません。

01 なぜ章が短くなるのか

いまのローカルLLMモデルは、1 回の返事で長い字数を指示されても守りきれません。「約 7,000字」と頼んでも、その指示を無視するように、途中で章を閉じてしまいます。いまのモデルの限界です。

Gemma 4 で測ったところ、1 回の返事はおおむね 2,000〜3,000字前後でした。31b は長めに書くモデルで、1 回に 4,000〜5,000字書くこともあります。アプリからは「約 7,000字」とそのまま伝えていますが、モデルのほうが書き終えて止まっています。アプリの不具合ではありません。

num_predict を大きくしても伸びません。num_predict は「ここで打ち切る」という上限で、それ以上書かせる設定ではないためです。12b と 26b で、num_predict を指定しない場合と 16,384 にした場合を比べました。think を ON にすると本文は少し長くなりますが、どちらも 7,000字には届きません。

num_predict を大きくしても、1 回の返事の本文は長くならない 7,000字と頼んだときの 1 回の返事の本文の字数です。think OFF の 12b は、指定なしで 1,938・2,397・2,463字、16,384 で 1,789・1,165・2,279字。think OFF の 26b は、指定なしで 2,547・3,139・2,353字、16,384 で 1,282・3,686・1,686字。think ON の 12b は、指定なしで 3,811・3,300・3,741字、16,384 で 3,040・3,515・3,738字。think ON の 26b は、指定なしで 3,570・3,776・2,108字、16,384 で 3,225・2,983・4,107字。どの回も 7,000字に届かず、モデル自身が書き終えて止まりました。 1 回の返事で書いた本文の字数(1 点 = 1 回) 指定なし num_predict 16,384 目標 7,000字 think OFF 12b 指定なし 16,384 26b 指定なし 16,384 think ON 12b 指定なし 16,384 26b 指定なし 16,384 0 2,000 4,000 6,000 8,000
「7000文字の小説を書いてください」と頼んだときの、1 回の返事の本文の字数です。num_predict を指定しない場合と 16,384 にした場合を、3 回ずつ書かせました。どの回も 7,000字に届かず、上限で切れた回は 1 回もありません(すべてモデル自身が書き終えて止まっています)。

2026-09 に計測。ローカルの Ollama 0.34.4、gemma4:12b-it-qat / gemma4:26b-a4b-it-qat、コンテキストサイズ 32,768。think ON のときは考える過程も num_predict に数えられるので、1,000 のような小さな値にすると、考えているうちに上限に届いて本文が 0字のまま切れました。

コンテキストサイズで切れた回もありませんでした。

一方で、返事を新しくすると、書く長さはそこで仕切り直されます。この機能はそこを使います。

02 この機能がすること

ON にすると、1 章を 1 回の依頼で書かせるのをやめて、何回かに分けて頼みます。書き上がった回を順につないで、1 つの章にします。

分けない場合と、強制的に守らせる場合の依頼の流れ 分けない場合は、1 章を 1 回の依頼で書かせます。目標 7,000字に対して、この例では 3,205字で章を閉じました。強制的に守らせる場合は、書き始め、続き、続き、続き、締めの 5 回に分けて頼み、1,622字、1,630字、1,282字、1,192字、1,195字の合計 6,921字の章になりました。 分けない(OFF) 1章 = 1 回の依頼 1章を書いて(約 7,000字) 3,205 ここまで書かずに章を閉じた(残り 3,795字) 1 回の返事で書けた字数 3,205字で終わり 強制的に守らせる (ON) 1章 = 何回かの依頼 書き始め 続き 続き 続き 締め 1,622 1,630 1,282 1,192 1,195 回ごとの字数(例: 12b・1章 7,000字の実測。上も同じ 12b) つないで 6,921字
四角が依頼、その下の帯が書けた字数で、点線の枠が目標の 7,000字です。上の段は、1 回で頼むと 7,000字と伝えても 3,205字で章を閉じた例。下の段は、同じモデルに 5 回に分けて頼んだ例です。分けた回は順につないで 1 つの章にします。

頼み方は 3 種類あります。

書き始め(1 回目)
「1章を書き始めてください。約 2,000字」と頼みます。あわせて、この章で書くあらすじの範囲(次の章の出来事は次の章で書くこと)と、章の全体の字数を伝え、「この回は場面の途中で止めてかまいません」と添えます。章の見出しは、分けない場合と同じ形でこの回に付けてもらいます。
続き(途中の回)
「前の回の最後の文からそのまま続けてください」と頼みます。この章で書くあらすじの範囲と、ここまでに書いた字数(「ここまで約 3,500字書きました」)を伝え、場面の途中で止めてかまわないと添えます。見出しは付けず、書いた部分を繰り返さないように伝えます。
締め(最後の回)
「続きを書いて、章を締めてください」と頼みます。あらすじの範囲とここまでの字数も伝えます。章の終わり方の指示(次の章への引きや、最終章なら結末の型)は、分けない場合と同じ文面です。

つないだあとで、分けたことが見える部分を落とします。「(つづく)」「(次章へ続く)」「(1章 完)」のようなラベルの行、2 回目以降に付いた章の見出し、前の回の最後の行をそのまま繰り返した行です。場面の区切りの線(*** など)は作品の一部なので残します。章の字数とタイトルは、この後始末をしたあとの本文から取ります。

03 回数の決め方

何回に分けるかは、先に決めていません。モデルごとの表も持っていません。1 回書き終わるたびに、書けた字数を見てその場で決めます。

回数の決め方 1 回目は約 2,000字で書き始めます。1 回書くごとに字数を数え、その回が 300字未満なら打ち切り、回数が上限に届いたら打ち切って、そこまでで章を確定します。そうでなければ、残りの字数をこれまでの 1 回あたりの平均で割って残り回数を出します。2 回以上なら続きを頼んで数える所に戻り、1 回以下なら締めを頼んで章を書き終えます。 1 回目 書き始め(約 2,000字) 場面の途中で止めてよい 書けた字数を数える この回は 300字未満? はい いいえ 回数が上限に届いた? 上限 = 目標 ÷ 1,000 を切り上げ + 2(7,000字なら 9 回) はい いいえ 打ち切り そこまでの本文で 章を確定する 残り回数 = 残りの字数 ÷ 1 回の平均(切り上げ) 1 回の平均 = これまでに書けた字数 ÷ 書いた回数 2 回以上 1 回以下 続きを頼む 約(残りの字数 ÷ 残り回数)字 場面の途中で止めてよい 書いたら、また数える 締めを頼んで、章を書き終える 約(残りの字数)字。章を締めて 目標をもう超えていたら約 500字 上限の 1 つ手前の回は、残り回数にかかわらず締めを頼みます
1 回書くごとに、残りをこれまでの 1 回あたりの平均で割って、あと何回かかるかを出し直します。1 回で書き切れる残りになったら締めを頼みます。

目標は、新規実行画面の「1章あたり」の字数(本編の目安文字数 ÷ 章数)です。字数は空白と改行を除いて数えます。

実際に 12b で 1章 7,000字を書かせたときの流れです。

回頼み方頼んだ字数書けた字数ここまでの合計次をどうするか
1書き始め約 2,0001,6221,622残り 5,378 ÷ 平均 1,622 → あと 4 回
2続き約 1,3451,6303,252残り 3,748 ÷ 平均 1,626 → あと 3 回
3続き約 1,2491,2824,534残り 2,466 ÷ 平均 1,511 → あと 2 回
4続き約 1,2331,1925,726残り 1,274 ÷ 平均 1,432 → あと 1 回
5締め約 1,2741,1956,921章を書き終える

同じ条件で 26b は 5 回(7,297字)、31b は 1 回に書く量が多いので 4 回(7,094字)で書き終えました。回数はモデルの名前ではなく、実際に書けた長さで決まります。

04 会話の履歴をまとめる

分けて書いているあいだは、「続きを」「ここまで約 3,500字書きました」といったやりとりが会話に積み重なります。これを残したまま次の章へ進むと、途中の頼み方が次の章の書き方に影響します。

そこで、章を書き終えたら、その章のやりとりを 1 往復にまとめます。分けない場合と同じ「1章を書いて」という依頼と、つないで後始末した本文の 1 組です。2 章から先は、分けない場合と同じ形の会話から書き始めます。

章を書き終えたら、会話の履歴を 1 往復にまとめる 1 章を書いているあいだは、書き始め、続き 4 回、締めの 6 往復が会話に積まれます。章を書き終えたら、これを「1章を書いて」という分けない場合と同じ依頼と、つないで後始末した本文の 1 往復にまとめてから、2 章の書き始めに進みます。 1 章を書いているあいだ(例: 6 往復) 章を書き終えたら(1 往復) 書き始め 返事(本文の一部) 続き 返事(本文の一部) 続き 返事(本文の一部) 続き 返事(本文の一部) 続き 返事(本文の一部) 締め 返事(本文の一部) 左 = 頼んだこと ・ 右 = モデルの返事 まとめる 1章を書いて 分けない場合と同じ依頼 つないだ本文 後始末したあとの 1 章 2 章の書き始めへ
2 章から先の会話は、分けない場合と同じ形になります。代わりに、章ごとにモデルが会話を読み直す時間が少し増えます。

05 実測

アプリを通して、同じ設定で ON と OFF を書かせました。条件は次のとおりです。

1 章の字数(全 3 章 × 1章 7,000字) 26b は分けない場合 1,611〜2,057字、強制的に守らせる場合 6,927〜7,010字。12b は分けない場合 2,014〜3,205字、強制的に守らせる場合 6,928〜7,509字。31b は分けない場合 2,633〜4,309字、強制的に守らせる場合 6,910〜7,278字でした。 目標 7,000 9 割 0 2,000 4,000 8,000 1 章の字数(点 = 1 つの章) 26b 分けない 1,611〜2,057 守らせる 6,927〜7,010 12b 分けない 2,014〜3,205 守らせる 6,928〜7,509 31b 分けない 2,633〜4,309 守らせる 6,910〜7,278
灰色が分けない場合、青が強制的に守らせる場合です。ON で書いた章は、どれも目標の 9 割(6,300字)を超えました。
モデル1 章の字数(分けない)1 章の字数(守らせる)1 章の時間(分けない → 守らせる)
26b1,611〜2,0576,927〜7,01010〜13 秒 → 45〜47 秒(約 4 倍)
12b2,014〜3,2056,928〜7,50924〜33 秒 → 75〜84 秒(約 2.5〜3.5 倍)
31b2,633〜4,3096,910〜7,27862〜95 秒 → 164〜169 秒(約 1.8〜2.7 倍)

時間が延びるのは、おもに書く字数が増えるためです。1 秒あたりに書く字数は、ON と OFF でほとんど変わりませんでした。そのぶん、もともと短く書いていたモデルほど倍率が大きくなります。

長い章も試しました。

ここに載せたのは、上の条件でそれぞれ 1 回ずつ書かせた結果です。字数や時間を約束するものではありません。モデル、GPU、制約の内容で変わります。

06 使い方

  1. 新規実行画面で、章数と「1章あたり」の字数を決めます(本編の目安文字数で決めてもかまいません)。
  2. その下の「1章の字数を強制的に守らせる」にチェックを入れます。既定は OFF です。
  3. いつもどおり「生成開始」か「キューに追加」を押します。

画面には次のような表示が出ます。

ON で書いたバッチには、ジョブ画面で「字数を強制」の札が付きます。小説ビューの実行情報にも「1章の字数を強制的に守らせる」の行(ON)が出ます。ジョブ画面のベンチマークでは、ON で書いた作品を「モデル名(字数を強制)」の別の行として集計します。速さの傾向が違うので、既定では表に入れていません。小説生成の欄で「字数の強制ありも含める」を選ぶと出ます。

書いている最中の小説ビューでは、1 章が 1 つの流れとして表示されます。章を書き終えると、後始末したあとの本文に差し替わります。

書き終えた作品では、小説ビューの統計の「詳細」を開くと、章ごとに何回に分けて頼んだかと、回ごとの字数が出ます(例:「5 回 · 1,622 / 1,630 / 1,282 / 1,192 / 1,195 → 6,921 / 目標 7,000」)。いちばん下の「本文に回の境目を表示する」にチェックを入れると、本文の中の回の境目に細い点線と「2 回目 · 続き · 1,630字」のような札が出ます。チェックは画面を開き直すと外れます。書き出し(.txt / .md / EPUB)には入りません。編集した章では境目は出ません。

07 決まり

1章 3,000字以下は分けない
そのくらいの長さは 1 回の返事で書けるので、ON でも分けない場合と同じ 1 回の依頼で書きます。
1章 30,000字まで
それより長い設定にしたときは、1 章 30,000字として書きます。
1 回が 300字未満なら打ち切り
どこかの回の返事が 300字に届かなかったら、それ以上は頼まずに、そこまでの本文で章を確定して次の章へ進みます。途中の回が空で返ってきたときも同じです。1 回目から空のときは、分けない場合と同じく作品の生成が失敗になります。
同じ文字の連打で止められたら頼み直す
ローカルLLMモデルが同じ文字を書き続けると(「あああ……」のような連打)、Ollama(0.34.1 以降)が生成を止めてエラーを返します。分けて書いている回がこれで止められたときは、書きかけを捨てて同じ内容でもう 2 回まで頼み直します。それでも止められたら、2 回目以降の回ならそこまでの本文で章を確定して次の章へ進みます(1 回目なら作品は失敗になります)。起きたことは、生成中の画面と統計の「詳細」に出ます。
回数には上限がある
1 章あたりの回数は「目標 ÷ 1,000 を切り上げ + 2」までです(7,000字なら 9 回、30,000字なら 32 回)。
停止は章の境目で、再開は同じ字数で
停止ボタンの既定(章完了まで待って停止)では、書いている章を最後の回まで書いてから止まります。強制停止で章の途中で止めた場合は、分けない場合と同じく、再開のときにその章を頭から書き直します。再開でも、同じ 1 章の字数で分けて書きます。→ 章の執筆再開
続編とおまけには効かない
効くのは新規実行と、その再開だけです。原作を ON で書いていても、続編とおまけには引き継ぎません(そのような作品では、拡張のダイアログにもそう出ます)。続編の章は、これまでどおりの長さで書かれます。

長編を少しずつ書きたいときは、続編ではなく再開を使ってください。新規実行で章数を多めに指定し、「途中まで生成して止める」で止める章を決めておきます。続きは再開で書けば、同じ 1 章の字数で分けて書きます。→ 途中まで生成して止める

08 注意