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Kindle に出す(KDP 出版ガイド)

このガイドについて

Inkubus の製本で書き出した EPUB を、 Amazon の Kindle ダイレクト・パブリッシング(KDP)で売るまでの流れをまとめたものです。 技術的なことよりも、あとから直せないことと知らずに踏むと困ることを先に置いています。

ここに書いた数値・条件は 2026 年 8 月に調べたものです。 Amazon の規定は予告なく変わります。実際に出すときは、KDP のヘルプで 「表紙画像の必要条件」「ロイヤリティ」などを検索して、最新の内容をご確認ください。 このガイドは Amazon の公式情報ではありません。

Kindle 以外(BOOTH・楽天 Kobo など)に出す場合、ここに書いてある制約はほとんど当てはまりません。 製本で書き出した EPUB は、そのまま他のストアにも使えます。

01 日本語の小説と Kindle の相性

Amazon は原稿づくりのために Kindle Create という無料ソフトを配っています。 ただし公式ヘルプに、日本語ではリフロー型(文字サイズを変えられる形式)に対応していないと明記されています。 PDF での入稿も日本語は対象外です。

日本語の小説で残るのは、Word のファイルをそのまま渡すか、EPUB を自分で用意するかの二択です。 Word でも出せますが、Amazon 側で自動変換がかかるので、縦書きやルビが思ったとおりに出るとはかぎりません。 KDP のヘルプにも「複雑な書式設定を含むファイルは適切に変換されないことがあります」と書かれています。 EPUB なら、組み方をこちらで決めきったまま渡せます。Inkubus の製本は、その EPUB を作るものです。

表紙も同じです。KDP には表紙を作るツール(Cover Creator)が用意されていますが、 こちらも公式に日本語は非対応と書かれています。 公式が案内している代わりの方法は「独自にデザインした JPEG をアップロードする」だけなので、 Inkubus の自動表紙や装飾エディターで作った表紙が、そのままその「独自デザイン」にあたります。

02 出す前に決めるもの(あとから変えられない)

電子書籍では、次の項目は出版したあとに変更できません。校正の前に決めてください。

項目Inkubus のどこで決まるか
タイトル作品のタイトル。AI推敲で付け直すならここで確定させる
サブタイトル同上。タイトルと合わせて 200 字まで
主な著者製本画面の著者名の上書き。ライブラリでは架空の作者、本にするときだけ本名やペンネームに差し替える運用ができる
言語日本語

ここで決めた著者名は、あとから変えられません。 製本画面で著者名を上書きしてから出してください。 本の中の奥付と、KDP の書誌欄は一致させておくのが無難です。

製本画面の「出版の準備」を開くと、書誌欄に貼る文字列がまとめて出ます。 表紙で一部の文字を大きくする 【】 の記号は外した形になっているので、そのままコピーして貼れます。

ISBN は電子書籍には不要です。入れると後から変更できなくなるので、指定しないままで問題ありません。

03 表紙は 2 つある

意外と見落としやすいところです。Kindle には表紙が 2 つあります。

何に使うか用意のしかた
本の中の表紙 本を開いた 1 ページ目 製本画面で選んだ表紙が、そのまま EPUB に入ります
ストア用の表紙 商品ページ・検索結果・端末の書棚に出るサムネイル KDP のアップロード画面で別に上げます

製本画面の「出版の準備」にストア用の表紙をダウンロードがあります。 いま選んでいる表紙から、KDP の推奨に合わせた JPEG をその場で作って落とします(ファイルは保存しません)。

ストア用の表紙の条件

項目条件
形式JPEG または TIFF(PNG は不可)
推奨サイズ幅 1,600 × 高さ 2,560 ピクセル。高さは 2,500 以上が望ましい
最小サイズ幅 625 × 高さ 1,000 ピクセル
縦横比1.6:1 以上(= 5:8。Inkubus の表紙の切り抜きはこの比率です)
ファイルサイズ5MB 以下を目安に
色RGB(CMYK は非対応)/ 透過は非対応

Inkubus が書き出すファイルは、形式・色・透過・解像度のタグを条件に合わせて整えます。 足りないのが「大きさ」だけは自動で直せません。 公式が「規定のサイズより小さい場合、拡大しないでください。画像を拡大しても品質は向上しません」と書いているとおりで、 引き伸ばしても粗くなるだけだからです。 推奨に届かないときは「出版の準備」に実際の数値が出るので、元の絵を大きく作り直すのがいちばん効きます。

ストア用の表紙にはタイトルと著者名が入っている必要があり、書誌欄と一致していることが求められます。 表紙イラストで文字を置く場所をどう空けるかは 製本ガイドの「表紙イラストは『空ける場所』を先に決める」 をご覧ください。

背景が白や淡い色の表紙は、商品ページの白地に溶けてしまいます。 公式も 3〜4 ピクセルの薄い灰色の枠線を推奨しています(必須ではありません)。

04 口絵と本文中の画像

Kindle には「口絵は何枚まで」という決まりはありません。 効いてくるのは本全体の大きさで、Amazon のガイドラインでは EPUB の上限が 650MB です。 口絵を上限まで入れても数 MB なので、まず届きません。 ファイルが大きいと配信コストが増えますが、日本ではほぼ無視できます(07 ロイヤリティと独占)。

枚数を制限しているのは Inkubus 側です。Amazon の決まりではありません。

項目Inkubus の上限・目安
枚数12 枚まで
1 枚のファイル10MB まで
形式JPEG / PNG / WebP
小さすぎる画像短い辺が 300px 未満は受け付けません
推奨サイズ1,200 × 1,800px 以上(理想 1,536 × 2,400px)

画像そのものの決まり(Amazon 側)

  • 表示される大きさで 300 PPI が基準。ページいっぱいに出す画像は 1,200 × 1,800px 以上(4 × 6 インチ相当)が最小とされています
  • 透過のある画像は非対応。TIFF と複数フレームの GIF も読めません
  • カラープロファイルは RGB(CMYK は非対応)

ここは Inkubus が取り込みのときに済ませています。 透過部分を薄いグレーで塗りつぶし、1,536 × 2,400px に収まるよう縮小し(引き伸ばしはしません)、RGB に揃えます。 背景を透明にしたまま書き出したイラストをそのまま入れても、Kindle で消えたり黒くなったりしません。

口絵の入れ方と文字入れは製本(EPUB を作る)をご覧ください。

出典: 電子書籍内の画像の形式 / Kindle パブリッシング・ガイドライン(PDF・「11.4 画像のガイドライン」)

05 成人向けの扱い

KDP には「露骨な性的表現を含む画像またはタイトル」という設定項目があります。 Inkubus の主な用途に直結するうえ、ここだけは「あとで直す」が効きません。

内容
判定に使われるもの表紙の画像(ヌードや性的なポーズ)とタイトル・サブタイトルの語。本文は対象ではありません
「はい」の効果一般の商品検索に表示されない/ 子供向け・ヤングアダルトのカテゴリから除外/ 対象年齢を設定できない
取り消せるかAmazon 側が判定した場合は変更できません。自分で誤って「はい」にしたときだけ戻せます

だからストア用の表紙は、本の中の表紙と中身を変えるという選択肢があります。 寸法や形式は同じでよく、違えるのは絵と文字です。 本の中には作品として作った表紙を入れ、ストアには検索に出る表紙を上げる、という分け方ができます。

禁止されているのは「わいせつ・ポルノ」と児童に関わるもの、それに「Amazon が不適切と判断したもの」です。 どこまでが許されるかの線引きは公開されていません。 「このジャンルなら大丈夫」と言い切れる区分は公式には存在しません。

二次創作は「必要な権利を保有していること」が条件です。許諾がなければ出せません。

06 AI 生成の申告

KDP では、AI で作ったコンテンツを申告することが求められます。Inkubus の利用者は全員が関係します。

内容
対象テキスト・画像・翻訳の 3 種類。表紙や挿絵も対象です
「AI 生成」AI ツールが実際に中身を作った場合。あとから大幅に手を入れても「AI 生成」のままと公式に書かれています
「AI 支援」自分で書いたものを AI に編集・改良・誤字チェックさせた場合。こちらは申告不要
改訂版既存の本を編集して再出版するときも申告の対象

Inkubus は本文を AI が書くので、テキストは「AI 生成」にあたります。 表紙については、Inkubus の自動表紙(文字を組んで作るもの)は AI が絵を描いたわけではないので画像の AI 生成にはあたりませんが、 画像生成ソフトで作ったイラストを表紙や口絵に使ったなら、そちらは該当します。

申告はKDP の管理画面で行うもので、原稿をアップロードする途中で聞かれます。 奥付に「AI を使用」と書く義務は公式には見当たりません。書きたい場合は製本画面の奥付の定型文に足せます。

07 ロイヤリティと独占

これは技術の話ではなく、いちばん重い判断です。

70%35%
条件KDP セレクトへの登録が必要(90 日間・電子版は Kindle 独占)なし
価格帯¥250〜¥1,650(税込)¥99〜¥20,000
配信コスト差し引かれる差し引かれない

BOOTH や Kobo と併売したいなら 35% を選びます。 KDP セレクトの独占は「販売または配信」が対象なので、無料配布でも独占違反になります。 紙の同人誌は対象外です。

配信コストは日本ではほぼ無視できる

日本での配信コストは 1MB あたり ¥1・最低額 ¥1 ですが、 10MB 以上の書籍では差し引かれません。 口絵をたくさん入れた本でも、引かれるのはせいぜい数円です。 「ファイルを軽くして手取りを増やす」という考え方は、日本ではほとんど意味がありません。

08 内容紹介の決まり

商品ページに載る内容紹介は 4,000 字までです(HTML タグを使う場合はタグも文字数に含まれます)。 製本画面の紹介文で作った文章をそのまま貼れます。

次のものは書けません。

  • URL・メールアドレスなどの連絡先
  • 他サイトのレビューの引用
  • 価格や販売条件
  • 絵文字
  • 結末のネタバレ

Inkubus の紹介文は「過激な内容をおさえる」を既定で有効にしてあるので、 ストアに載せられるトーンで出てきます。貼る前に一度読み返してください。

09 検索キーワード(7 つ)

読者があなたの本を探すときの言葉です。最大 7 つまで登録でき、 1 つあたり50 文字までです。入力そのものは必須ではありませんが、 空のままにしておくと KDP から「キーワードが入っていない」と案内が出ます。 タイトルと違って、出したあとから何度でも変更できます。

Kindle が示している例は「中世のファンタジー」です。単語ではなく短いフレーズで、 1 つの欄に 1 つずつ入れます。1 欄に 50 文字ぶん詰め込む使い方が広まっていますが、 Kindle は「スペース・句読点・複数形の表記ゆれを並べないこと」と書いているので、 Inkubus は1 欄 1 フレーズで作ります。

入れてよいのは、こういう言葉です。

  • 舞台(例: 中世のファンタジー、辺境の村)
  • 登場人物のタイプ・役割(例: 没落した令嬢、強い女性のリーダー)
  • 物語のテーマ(例: 成長、復讐)
  • 物語の雰囲気(例: 心温まる、ダークファンタジー)

逆に、次のものは入れないよう案内されています。

  • タイトル・著者名など、すでに書誌に出ている言葉
  • 選んだカテゴリーで既に言われている言葉
  • 「過去最高の本」のような、良し悪しの主張
  • 「新刊」「発売中」のような時期の言葉
  • ほかの著者の名前、持っていないブランド名、Amazon のサービス名

製本画面の「出版の準備」を開くと、キーワードを作ってもらえます。 あらすじと登場人物を読ませて 16 個ほど候補を出し、 タイトルや著者名にそのまま入っている言葉は自動で外して、 上位 7 つを欄に並べます。気に入らないものは外して、控えから入れ替えられます。 1 つずつコピーするボタンと、7 つまとめてコピーするボタンがあります。

作ったキーワードは本(EPUB)の中にも書き込まれますので、 楽天 Kobo や BOOTH に出すときも同じ言葉が使えます。カンマ区切りでまとめてコピーするボタンは、 そういうストアのキーワード欄・タグ欄向けです。 ただし、本に書き込んだからといって Kindle の欄が埋まるわけではありません。 入稿画面の 7 つの欄には、コピーして貼ってください。

10 出すまでの手順

  1. 製本画面で本を仕上げる。 表紙・口絵・奥付を整え、著者名の上書きを確定させます。試し読みで通して確認しておくと安心です。
  2. EPUB を書き出す。製本画面の「出版」から .epub を保存します。
  3. ストア用の表紙を書き出す。 「出版の準備」を開いて、指摘が出ていないことを確かめてからダウンロードします。
  4. KDP で新しい本を登録する。 タイトル・サブタイトル・著者名は、製本画面の「出版の準備」に出ている文字列をコピーして貼ります。
  5. AI 生成の申告に答える。原稿をアップロードする途中で聞かれます。
  6. ページを読む方向を「縦書き(右から左)」にする。 Inkubus の EPUB は右開き・縦書きの指定を入れていますが、 KDP の画面側でも設定が必要です。ここを忘れるとページ送りが逆になります。
  7. 成人向けの設定と価格・ロイヤリティを選ぶ。
  8. 出版を申請する。審査は 3〜10 営業日ほど。 審査中は変更もキャンセルもできません。 販売が始まってからストアの検索結果に出るまで、さらに 72 時間ほどかかります。

出す前に実機で見え方を確かめたいときは、Amazon が配っている Kindle Previewer が使えます。 KDP のアカウントがなくても使えて、書き出した EPUB をそのまま開けます。 くわしくは EPUB を読むアプリ をご覧ください。

11 「一晩で 100 作品」は流し込めない

KDP には 「1 週間に同時に作成できるタイトル数は、本のフォーマットごとに 10 点まで」という上限があります。 Inkubus で夜のあいだに何十本も書けても、そのまま全部をストアに並べることはできません。

現実的な使い方は「量産して選ぶ」です。 たくさん書かせて、読んで、いちばんよかったものだけを本にする。 AI推敲でタイトルを付け直し、表紙を作り込むのは、その選んだ 1 本にだけ時間をかければ足ります。

定期的に多数のタイトルを出す予定がある場合は、Amazon に相談する窓口があります。

12 出したあと

改訂版を出しても、すでに買った人には自動では届きません。 重大な品質問題の修正だけ、Amazon に配信を依頼できます。

同人誌のダウンロード販売のように「ファイルを差し替えれば、買った人は再ダウンロードするだけ」という運用とは、根本的に違います。 誤字の修正も、買った人の端末には基本的に反映されないと思っておくのが安全です。 出す前の確認に時間をかける価値はここにあります。

また、原稿の 10% を超える変更は「新しい版」とみなされ、別の本として登録することになります。

よくある質問

EPUB をそのままアップロードして大丈夫ですか?

はい。Inkubus が書き出す EPUB は、Amazon が配っている変換ツールに通しても エラーなく変換できることを確認しています。目次も Amazon が認めている 2 つの方式のうちの 1 つで作っています。

表紙が本の中で二重に出たりしませんか?

なりません。Amazon 側の変換で、本の中の表紙ページは自動的に抑制され、アップロードした表紙が使われます。

口絵の見え方が読書アプリによって違います。

Kindle は「画像を画面に収める」指定の一部を変換のときに取り除きます。 Inkubus は Kindle 用の指定と、それ以外のアプリ用の指定を両方書いていますので、 どちらでも収まるようにしてあります。

PNG の画像のままでも出せますか?

本の中の画像は PNG でも受け付けられます(公式は写真やイラストには JPEG を推奨)。 Amazon 側で配信用に自動で最適化されます。 ストア用の表紙だけは PNG が使えないので、Inkubus が JPEG にして書き出します。

Kindle 以外にも出したいのですが。

製本で書き出した EPUB は、BOOTH や楽天 Kobo などにもそのまま使えます。 ただし 70% のロイヤリティを選ぶと Kindle 独占になるので、併売するなら 35% を選んでください。